【5月6日 AFP】ジミー・カーター(Jimmy Carter)元米大統領は自身のNGO「カーター・センター(Carter Center)」のウェブサイトに2日付けで、前週の北朝鮮訪問に関する報告書を掲載した。会談した同国ナンバー2の金永南(キム・ヨンナム、Kim Yong-Nam)最高人民会議常任委員長が、「驚くほど否定的で敵対的な態度だった」と記している。

 カーター氏は、国際人道グループ「エルダーズ(The Elders)」の一員として、朝鮮半島の緊張緩和、食糧不足対策の協議、北朝鮮核問題をめぐる6か国協議再開への働きかけなどを目的に、3日間の日程で訪朝した。報告書は、北朝鮮が軍事を最優先課題に据えていたと批判している。

 報告書によると、金氏は会談で、米国の対北朝鮮政策を過去までさかのぼり延々と非難した。そのためカーター氏が話をさえぎり、「われわれが未来を見据えて意見の相違を埋めようとここまでやって来たのに、あなたは過去の出来事を否定し、歪曲(わいきょく)することに終始している」と意見したという。

 カーター氏は、前年11月から北朝鮮で拘束されている米国人のチョン・ヨンス(Jun Yong-Su、英語名はエディー・チョン Eddie Jun)氏の解放も求めたが、金氏はこれを拒否。北朝鮮側は、チョン氏を起訴する方針をカーター氏に伝えたが、罪状は不明だ。会談は結局、緊張状態のまま終了した。

 なお、チョン氏はトラクターなどの販売を手掛けるかたわら牧師としても活動していたと報道されていたが、カーター元大統領の報告書でもこのことが確認された。

 なお、朴宜春(パク、ウィチュン、Pak Ui Chun)外相との会談では、北朝鮮が食糧支援と平和を「熱望」していること、非核化に向けた過去の協定を順守する必要があることが強調されたという。

 一行と金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記との会談は実現しなかったが、南北首脳会談を含め、米韓と無条件に話し合う用意があるとのメッセージを本人から受け取ったという。(c)AFP

【参考】カーター・センターのサイトに掲載された報告書(英語)