【5月5日 AFP】パレスチナ解放機構(PLO)の主流派でヨルダン川西岸を統治するファタハ(Fatah)と、ガザ(Gaza)地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は4日、暫定的な統一政府の樹立などを内容とする合意文書に調印し、交渉を仲介したエジプトの首都カイロ(Cairo)で式典に臨んだ。

 式典でファタハを支持基盤とするマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長とハマス政治部門の最高指導者ハレド・メシャール(Khaled Meshaal)氏は、2007年から続く双方の敵対関係を終わらせると宣言。アッバス議長は「(パレスチナ)分断の暗黒時代は永遠に閉じられた」と述べた。

 メシャール氏は「ハマスは和解のためのいかなる犠牲もいとわない。ハマスが戦う相手はイスラエルだけだ」と発言。1967年の境界線の内側にエルサレム(Jerusalem)を首都とするパレスチナ国家を築くことがハマスの目標であるとあらためて主張し、「1インチたりとも譲歩しない。パレスチナ難民の帰還権も諦めない」と強調した。

 一方で、訪英中のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、双方の歩み寄りに警戒感をあらわにしている。デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相との会談を前にネタニヤフ首相は、「ファタハがハマスと和解した今日という日は、テロリズムが大きな勝利を収めた日と言えよう」と語った。ネタニヤフ首相は5日にはパリ(Paris)で、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領と会談する。

 ガザ市(Gaza City)では4日、1000人以上が道路を埋め尽くし、旗を振ったり車のクラクションを鳴らしたりして和解を祝った。ヨルダン川西岸でもこれより小規模ながら各地で和解を喜ぶデモ行進が行われた。

 統一政府は無党派で構成され、樹立後1年以内に議長・評議会(議会)選挙を実施する。各勢力の治安部隊を統合するための「高等治安評議会」も設立される。(c)AFP/Samer al-Atrush