【3月28日 AFP】27日投開票の独バーデン・ビュルテンベルク(Baden-Wuerttemberg)州議会選は、東京電力福島第1原子力発電所の事故が影響し、反原発を掲げる野党・緑の党(Greens)が歴史的な勝利を収めた。

 同州は仏・スイスと国境を接し、自動車大手ダイムラー(Daimler)や自動車部品大手ボッシュ(Bosch)が本拠を置くドイツ経済の中心地。過去58年にわたってアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相(56)率いるキリスト教民主同盟(CDU)が議会多数派を維持してきた。だが、政権の命運を左右する重要な選挙を前に原発政策をめぐって揺れたメルケル首相の姿勢に、有権者は動揺した。

 緑の党の得票率は、2006年の前回選挙より12ポイント伸ばして党史上最高の24%を獲得、23%の社会民主党(SPD)と、同州で連立政権を組むことが予想される。

 一方、州議会と連邦議会で連立与党を組むCDUと自由民主党(FDP)の得票は、2党で計44%にとどまり、2月のハンブルク(Hamburg)特別市、前年5月のノルトライン・ウェストファリア(North Rhine-Westphalia)州での大敗に続き、メルケル政権には大きな痛手となった。

 有権者の45%が今回の選挙の争点は「原子力政策」だと答えており、FDP党首のギド・ウェスターウェレ(Guido Westerwelle)外相は、政策見直しを誓った。バーデン・ビュルテンベルク州には4基の原発がある。

 福島第1原発の事故を受け、メルケル首相は先に、ドイツ国内の原発の稼働期間延長の決定を3か月間凍結するとともに、安全点検のため古い原子炉7基を一時的に停止させている。(c)AFP/Deborah Cole