【3月23日 AFP】アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は22日、北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(ISAF)からアフガニスタン軍への治安権限移譲を7月から、情勢が不安定な南部ヘルマンド(Helmand)州の首都ラシュカルガー(Lashkar Gah)を含む4都市3州で開始することを明らかにした。

 今回の動きは2014年末までに予定されている駐留国際部隊の完全撤退へ向けた第一歩となる。米国同時多発テロ後の米国主導によるアフガニスタン侵攻と当時のタリバン(Taliban)政権追放から10年となるが、治安権限移譲については両者の間で前年、合意されていた。

 カルザイ大統領は、アフガニスタン国民は自国の治安について実権を担いたがっていると述べたが同時に、数十年に及んだ戦火に打ちひしがれ、今もタリバンの攻撃と戦うアフガニスタンにとって、それが容易な課題ではない点を認めた。タリバンの主力の反政府勢力は現在も活発だが、アフガニスタン軍幹部がリソースの不足を口にし、専門家らが軍内部の腐敗や兵士の定着度の低さを指摘する中、自国の治安部隊の態勢には疑問が残る。

 この夏から治安権限が移譲される4都市3州のうち、現在も激しい戦闘が続く南部で挙がっているのはヘルマンド州の州都ラシュカルガーのみ。西部の都市ヘラート(Herat)や北部のマザリシャリフ(Mazar-i-Sharif)、また中部バーミヤン州や北東部パンジシール(Panjshir)州はすでに比較的平穏である。

 カブール(Kabul)州の一部もアフガニスタン軍の治安権限下に入るが、タリバンの活動が最も盛んなサロビ(Sarobi)地区は引き続きISAFが担当する。

 専門家Haroun Mir氏は、ラシュカルガーと東部ラグマン(Laghman)州の州都メータルラム Mehtarlam)はタリバンによる打撃を大きく受けた州にあるがどちらも小さな街で、最初の権限移譲は象徴的なものにとどまるだろうと見ている。(c)AFP/Claire Cozens