【3月15日 AFP】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(75)が政治的指導者の地位から退く意向を表明したことに対して、チベット亡命政府議会の議員らが15日、相次いで反対を表明した。

 ダライ・ラマ14世は前週、政治的指導者の地位を退き、20日に選出される次期首相に政治権限を委譲したいとの考えを表明していた。

 これに対し、15日に亡命政府議会で演説をした議員14人のうち11人が、ダライ・ラマ14世の政治引退を可能にする憲法修正に相次いで反対を表明した。

「チベットの世論は、ダライ・ラマ14世の考えに同意していない。引退を提案するようならわたしは辞職する」と、ある議員は語った。

 また、議員3人が、20万人強の亡命チベット人による投票実施を提案。別の議員は、ダライ・ラマ14世が政治的指導者の地位に就いたまま、議会の権限を拡大するという折衷案を提示した。

 ダライ・ラマの引退に必要な憲法修正案は15日中は採決されない見通しだが、20日の選挙前には実施される可能性が高い。

 ダライ・ラマ14世が象徴的な政治的指導者の地位から退きたいとの意向を示したのは今回が初めてではない。これまでも、「代わりがいない」との議会の反対で、ダライ・ラマ14世の政治引退は退けられてきた。(c)AFP/Rajeshwari Krishnamurthy