【3月10日 AFP】訪米しているオーストラリアのジュリア・ギラード(Julia Gillard)首相は9日、上下両院合同会議で演説し、米国は経済成長著しい中国を恐れるのではなく、受け入れるべきだと述べた。

 ギラード首相は、「中国の繁栄が、オーストラリアや米国や世界のそれ以外の国を繁栄を妨げると考える理由などありません。繁栄は共有できます。共に富を作り出していきましょう」と述べ、世界経済はゼロサムゲームではないと強調した。

 またアフガニスタン情勢について、外国の軍が早急に撤退すると以前の荒廃した状態に戻りかねないとして、2011年半ばに兵力の撤退を始め、2014年後半に治安権限をアフガニスタンに移譲するというバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の方針に支持を表明した。オーストラリアは北大西洋条約機構(NATO)加盟国以外では最大規模の約1500人の兵士をアフガニスタンに送っている。

 ギラード首相はオーストラリアにとって米国は今も「欠くことのできないパートナー」だと述べるとともに、オーストラリアと日本、インド、韓国、インドネシアなどの国々の関係強化を「大いに歓迎している」と述べた。

 演説は友好的かつ米国を叱咤激励する内容で、イランの核開発計画への批判や2001年の同時多発テロで命を落とした消防士たちについて語った時にはスタンディング・オベーションが起きた。

 しかし、聴衆には下院の若いスタッフが多く、議員や米国の報道陣は少なかったことから、ギラード首相の側近の1人は「『われらが最良の時』とは言えない」と語った。

 米下院のウェブサイトによると、上下両院合同会議で外国の指導者が演説したのは、1874年のハワイ(Hawaii)のデービッド・カラカウア(David Kalakaua)国王から数えて今回で110回目。(c)AFP/Olivier Knox