【3月8日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はジョン・ハンツマン(Jon Huntsman)駐中国大使の後任に、中国系米国人のゲーリー・ロック(Gary Locke)商務長官を任命する見通しとなった。

 匿名を条件に取材に応じた米高官が認めた。正式発表はまもなく行われるとみられる。ハンツマン現大使は、2012年の大統領選にオバマ大統領の再選を阻止する共和党候補として出馬の可能性が報じられる中、前月、辞意を表明していた。

 米史上初のアジア系州知事としてワシントン(Washington)州知事を務めたロック氏は、これまでにもさまざまな立場で中国に関わり、商務長官に就任する以前から、中国との貿易関係強化における立役者となってきた。最近では、中国にさらなる市場開放と通貨政策の緩和を求めている米高官の1人でもある。

 ロック氏の祖父は、広東(Guangdong)省の台山(Taishan)市から蒸気船で渡米し、ワシントン(Washington)州へ移住した。中国で生まれた父も米国へ渡り、食料品で働いて、息子であるロック氏が米国の教育の恩恵を受けられる道筋をつけた。ロック氏はその後、法律を学んだ後に政界入りした。上院の承認を経て着任すれば、一家の祖国の土を踏むことになる。

 長年に渡る中国への貿易使節団派遣を通じて、江沢民(Jiang Zemin)前国家主席や温家宝(Wen Jiabao)現首相とも面識がある。また好況にわく広東省広州(Guangzhou)に事務所を設置し、ワシントン州から中国への多くの米企業進出の足掛かりを作った。これによりワシントン州の対中国輸出額は倍以上に増え、年間50億ドル(約4100億円)を超えた。(c)AFP