【2月22日 AFP】反体制デモの激化によって40年あまりの長期独裁政権が揺らいでいるリビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が21日夕、デモ発生後初めて国営テレビで談話を発表し、亡命したという情報を自ら否定した。

 中東・北アフリカ諸国ではチュニジアやエジプトの革命に触発されて反体制デモが拡大しているが、リビアでも15日に東部を皮切りにデモが勃発(ぼっぱつ)した。

 22秒の短い映像の中で、カダフィ大佐は、ベネズエラに亡命したという情報は「悪質な噂だ」と否定し、首都トリポリ(Tripoli)中心部の「若者たちと『緑の広場』でこれから会う予定だ。トリポリにいることを証明し、わたしがベネズエラにいるというテレビ報道を否定する」と語った。

 映像ではカダフィ大佐は雨の中、傘をさして車に乗り込もうとしていた。国営テレビはカダフィ邸前からの生放送だと説明した。トリポリでは同時刻、激しい雨が降っていた。

 しかし辞任する閣僚が現れたり、さらにデモ隊に対する攻撃を命じられた空軍パイロットが亡命するなど、長期独裁体制を維持してきたカダフィ大佐の権力は急速に弱まっているようだ。

 民衆蜂起は現在、トリポリまで拡大しており銃声が響く中、デモ隊がカダフィ大佐のプロパガンダ機関である国営放送の事務所や警察署を襲撃したり、政府庁舎に放火するなどしている。

 電話インタビューに応じたトリポリの2つの地区の住民らは、タジュラ(Tajura)地区で武装集団の「無差別発砲による大虐殺があった」と語っている。(c)AFP