【2月21日 AFP】(一部更新)反体制を訴えるデモ隊と治安部隊との衝突で多数の犠牲者が出ているリビアで21日、同国の最高指導者、ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の次男、セイフ・アルイスラム・カダフィ(Saif al-Islam Kadhafi)氏が国営テレビ演説し、リビアは内戦に陥る寸前だと訴える一方、反体制デモはカダフィ体制に対する外国の策略だと非難した。

 カダフィ氏は、テレビ演説のなかで、リビアの政情不安を扇動したとして、国外に居住するアラブやアフリカ出身者を批判し、暴力的なデモはイスラム主義支配の確立を狙ったものだと語った。

 その一方でカダフィ氏は、新憲法と自由主義的な法律の導入を約束した。

 だが、衝突の犠牲者数を誇張していると外国メディアを糾弾。また、「リビアはエジプトでもチュニジアでもない。リビアに政党は存在しない。われわれは銃弾が尽きるまで戦い、破壊分子を根絶する」と述べ、いかなる蜂起も容赦なく鎮圧する姿勢を明確にした。 

 さらにカダフィ氏は、「全国民が武器をとれば、それは内戦だ。われわれは互いに殺しあうことになる」とけん制した。

■首都にもデモ波及、銃声響き混乱

 一方、反体制デモは21日、首都トリポリ(Tripoli)にも波及した。

 現地のAFP記者や目撃者によると21日早朝、市内中心部で銃声が聞こえたという。銃声に混ざって、女性たちの泣き叫ぶ声や車のクラクションが鳴り響き、市内は混乱に陥っているという。

 市民の1人は、「銃声があちこちで聞こえ、市の中心部に向かっている」とAFP記者に語った。また、労働者が多く住む地域の住民によると、治安部隊が催涙弾でデモ隊を制圧しているという。
 
 リビアで起きた一連の反体制デモで、トリポリでデモ隊と治安部隊が衝突するのは初めて。(c)AFP