【2月16日 AFP】北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記は16日、69歳の誕生日を迎えた。

 北朝鮮では最も重要な祝日とされる金総書記誕生日の前夜の15日、国営メディアは「国中が大いなる誇りと喜びに満ち溢れている」と報じた。

 平壌(Pyongyang)市内の蒼光(Changgwang)体育施設で行われた前夜祭では、映画上映、シンクロナイズドスイミングのショーに加えて、新種のベゴニア「金正日花」が披露され、市内の通りは、鮮やかなちょうちんやお祝いのメッセージで埋め尽くされた。

 国営の朝鮮中央通信(Korean Central News AgencyKCNA)によると、黄海(Yellow Sea)の8つの島に住む全ての子どもたちに、誕生日の特別配給としてあめやガム、クッキーなどの菓子が航空便で届けられたという。

 朝鮮中央通信は14日にも、中国との国境にある金総書記と縁のある白頭山(Mount Paekdu)には早くも春が訪れ、「正日峰(Jong-Il Peak)」上空に光輪が現れたと報じている。

■特別配給ができない地域も

 一方、韓国の北朝鮮情勢サイト「デイリーNK(Daily NK)」によると、金総書記の誕生日にあわせて毎年実施される特別配給が、食料難から今年は少なくとも1つの道(県に相当)で行き渡らなかったと伝えている。

 これによると咸鏡北道(North Hamkyung Province)にいる情報提供者の話として、通常は金総書記の誕生日の3日前に5~10日分の米かトウモロコシの配給があるが、今年は誕生日前日の15日の朝になっても、政府高官らにさえ配給がなかった様子だ。だが、咸鏡北道の軍需工場に勤務する労働者には食料が配給され、子どもたちにもあめが配られたという。

 こうした事情について、韓国の対北援助団体「グッドフレンズ(Good Friends)」は、朝鮮労働党幹部の話として、労働党傘下の団体や貿易企業は誕生日の特別配給のために、全力をあげて食料確保に努めていると伝えている。

 金総書記は、三男の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)氏への権力移譲の準備をすすめるなかで、疲弊した計画経済の立て直しや慢性的な食料不足の緩和に苦慮している。(c)AFP/Simon Martin