【2月15日 AFP】エジプトやチュニジアで政権を崩壊に追い込んだ市民デモが14日、イランにも波及した。

 首都テヘラン(Tehran)のアサディ広場(Azadi Square)には野党支持者らが集結。2009年にマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領の再選に抗議するデモで使われたスローガン「独裁者に死を」を叫び始めると、治安部隊が介入し、デモ隊と衝突。複数のウェブサイトや目撃者情報によると、治安部隊は催涙弾やペイント弾(液体塗料入りの弾丸)をデモ隊に向けて発射した。

 同国ファルス(Fars)通信によると、通行人1人が銃撃に巻き込まれて死亡したほか、銃撃戦で多数の負傷者が出ている様子だ。ファルス通信は、非合法の反体制派政治組織「イスラム人民戦士機構(PMOI)」がデモを扇動したと報じている。

 だが、野党系ウェブサイトは、現場に現れたオートバイ集団がデモ参加者に向かって発砲したと伝えている。

 また、野党指導者のミルホセイン・ムサビ(Mir Hossein Mousavi)元首相のウェブサイト「kaleme.com」は、未確認情報として、テヘランでデモ参加者数百人が逮捕されたと伝えた。

■米国務長官も反政府デモを支持

 一方、米国のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官は、テヘランでの反政府デモ参加者の「勇気」と「大志」を称賛し、イラン政府にエジプトの例にならって政治体制を開くよう呼びかけた。

 テヘランで、デモ禁止令に反して反政府デモが実施されたのは、2010年2月11日にイスラム革命31周年の祝賀ムードのなかで反政府活動家が抗議運動を展開して以来、初めて。(c)AFP/Jay Deshmukh