【2月12日 AFP】(一部更新)エジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領(82)が11日、辞任し、軍最高評議会(Supreme Council of the Armed Forces)に権限を移譲した。オマル・スレイマン(Omar Suleiman)副大統領が国営テレビで発表した。

 30年近く続いたムバラク体制だったが、18日間続いた抗議デモの圧力に退任を余儀なくされた。スレイマン副大統領は「国が直面している困難な状況を考慮し、ホスニ・ムバラク大統領は辞任を決意し、軍最高評議会に国務遂行を命じた」と述べた。

 これに伴い、エジプトの立憲体制は一旦終了し、これまで長らく統治権力を裏から支えた軍部が権力を掌握するかたちとなった。軍最高評議会議長で陸軍元帥のムハンマド・フセイン・タンタウィ(Muhammad Hussein Tantawi)国防・軍需生産相(75)が国政を担うことになる。タンタウィ国防相はムバラク氏に近いとされる人物。

 与党・国民民主党(NDP)によるとムバラク大統領は、辞任発表に先だってカイロを離れ、紅海(Red Sea)に面した保養地のシャルムエルシェイク(Sharm El-Sheikh)に入ったという。 

■歓喜に沸くカイロ

 ムバラク政権崩壊の一報はまたたく間にカイロ(Cairo)市内に広まり、大統領の辞任を求めて街頭に繰り出していた人々は「われわれ国民が体制を追放した!」と歓喜の声を上げた。

 市内各地で「アラーは偉大なり」と口々に叫ぶ声が聞かれ、花火が打ち上げられ、空砲や結婚式用の車のクラクションが鳴り響き、ダンスも始まった。2週間の抗議デモの中心となってきたタハリール広場(Tahrir Square)では、感極まって卒倒する人も出た。

「エジプトの人々はついに自由を手にした。恐怖の壁を打ち破ったのだ。われわれが国民を変えたのだ」と、抗議デモの原動力となってきた若者世代のカイロ大学(Cairo University)の学生(21)は喜びを語った。(c)AFP/Mona Salem

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