【1月24日 AFP】反政府デモでジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)前大統領による強権体制が崩壊したチュニジアで23日、前政権の有力人物だったモハメド・ガンヌーシ(Mohammed Ghannouchi)首相らに暫定政権から退くよう求めるデモ隊が、首相府前で警官隊と衝突した。投石するデモ隊に警官隊が催涙弾を発砲した。

 首相府前のデモ参加者の多くはチュニジアの地方から首都に来た人びとで、夜間外出禁止令を無視して夜通し首相府を取り囲んだ。首相府周辺では夜間の衝突はなかったものの、24日朝になって投石があったことから機動隊が催涙弾を発砲した。

 チュニジアでは学校が24日に再開する予定だったが、暫定政権人事に抗議する一部の教職員がストライキを呼びかけたため、一部の学校が閉鎖したままとなっている。また、ベンアリ政権を崩壊に追い込んだ抗議運動を主導したチュニジア労働総同盟(UGTT)も、新政権にガンヌーシ首相らが入っているとして暫定政権を認めていない。

■国民の多くが暫定政権を認めず混乱が続く

 国民の多くが暫定政権に対して同様に感じており、暫定政権が発表された17日以降、毎日のように暫定政権の退陣とベンアリ前大統領時代の与党・立憲民主連合(RCD)の解散を求める抗議デモが起きている。

 これに対し、1999年から首相を務めるガンヌーシ氏は、辞任を拒否し、1956年にフランスから独立して以来初となる民主的選挙が実施された後に政界を引退すると表明している。ガンヌーシ首相は6か月以内の総選挙実施を約束しているが、選挙の日程は明らかになっていない。

 一方で、暫定政権は、全面的な報道の自由の保障や政治犯の釈放、ベンアリ体制下で活動を禁止されていた政党を許可するなど、これまでにない民主化改革を発表している。

 体制崩壊後、政府は秩序を回復しようと夜間外出禁止令と非常事態宣言により集会を禁止。また、若者の抗議デモ参加を防止しようと、1月10日に閉鎖された学校や大学の今週中の再開を予定している。(c)AFP/Imed Lamloum and Mohamed Hasni