【1月14日 AFP】訪日中のロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は14日、都内の慶應大学で講演し、在日米軍は北朝鮮の脅威や中国の強硬姿勢への対抗手段だとして、駐留を継続する必要があると強調した。

 ゲーツ国防長官は、在日米軍はアジア地域における新たな安全保障上の脅威に対処するため不可欠だと発言。在日米軍の存在がなければ、「北朝鮮の軍事的挑発がますますひどくなり、中国は近隣諸国に対する自己主張をさらに強める恐れがある」「情報共有や協力体制が弱まり、地域の脅威や潜在的な敵の軍事力を知ることができなくなる」などと語った。

 また、在日米軍がいなくなれば、戦争勃発時や自然災害の際に住民を避難させるのに時間がかかるようになり、安全保障上重要な日米共同統合演習もコストが上がり実施が難しくなると指摘した。

■中国の文民統制に懸念

 一方、同じ講演の中でゲーツ長官は、中国の文民統制のあり方について「軍部と文民指導部との間に意思疎通の欠如がある」と述べ、懸念を示した。

 ゲーツ長官は11日、訪中し胡錦濤(Hu Jintao)国家主席らと会談したが、中国軍は同日、開発中の同国初のステルス戦闘機「殲20(J20)」の初試験飛行を行った。しかし、会談時に胡主席ら文民指導部は「試験飛行について知らされていなかったことは、かなりはっきりしている」という。

 同長官は、胡主席が「(軍を)統制している」ものの、「近年、軍部と文民指導部との間に意思疎通の欠如とも言うべき兆候が見られることがある」との述べた。今回の試験飛行に加え、2009年の米海軍調査船への妨害や07年の人工衛星破壊実験についても、文民指導部が当初知らなかった可能性があるとしている。(c)AFP/Dan De Luce

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