【12月20日 AFP】米連邦議会は19日、同性愛者であることを公言して米軍に入隊することを禁じた規定を撤廃する法案を可決した。ただし適用はまだ数か月先になるとみられる。

 この法案は、1993年に成立した「聞かない、言わない(Don't Ask, Don't Tell)」方針と呼ばれる「同性愛公言禁止規定」を撤廃するもので、民主党議員の他、一部共和党議員も賛成にまわり可決された。

 米軍としては、1948年に人種規制を撤廃して以来最大の方針転換となる。

 大統領選でも同規定の撤廃を訴えてきたバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、可決を「歴史的な一歩だ」と称賛した。さらに「自己犠牲の精神や勇敢さ、高潔さが、人種や性別、宗教によって決まるものではないように、性的指向によっても区別されるものではないということを受け入れるときが来たのだ」と述べた。

■法案成立後に検証作業開始

 一方で、アフガニスタンやイラクで米軍の軍事行動が続いているこの時期に、規制撤廃が兵士の結束を壊すことにならないかとの懸念も広がっている。軍上層部は可能な限りスムーズに方針転換を進めたい考えだ。

 法案はオバマ大統領の署名を経て成立するが、その後ホワイトハウスと国防総省は、この規制撤廃が軍の結束力や新兵募集などを阻害しないことを証明するための検証に入る。この作業には長ければ1年近くかかる見通しだ。

 ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は、国防総省が「慎重で組織的、かつ強い決意でこの変更を実施するための計画策定に直ちに取り組む」と述べている。

 12月に発表された国防総省の調査によると、米軍兵士の中で、大きな混乱なく方針転換が進むと考え、規定撤廃に対する懸念はないと回答した兵士は半数を大きく超えている。(c)AFP/Mathieu Rabechault