【12月1日 AFP】米国防総省は30日、同性愛者であることを公にして軍務に就くことを禁じた規定を撤廃しても、深刻な影響はないとする報告書を議会に提出した。

 この規定は俗に「聞かない、言わない(Don't Ask, Don't Tell)」方針と呼ばれる1993年の「同性愛公言禁止規定」で、兵士に同性愛者であることを公言することを禁じ、違反した場合は除隊させるという内容。最近、米連邦地裁で違憲判決が出ていた。

 報告をまとめたカーター・ハム(Carter Ham)大将とジェー・ジョンソン(Jeh Johnson)国防総省主席法律顧問は「戦時下にあっても(規制撤廃は)可能であると、われわれはそろって確信している」と述べた。11月の中間選挙で民主党が敗北し、来年1月から共和党が下院で多数を占めることから、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領と民主党は関連法の年内成立を目指している。

■戦闘部隊で根強い抵抗

 今回の調査は米軍の現役兵および予備役兵計40万人とその配偶者15万人を対象に実施された。規制を撤廃した場合に「良い影響がある」「良い影響と悪い影響は同程度」「影響はない」という回答者は合わせて7割に上った。

 一方、全体の3割は規制撤廃に懸念を示した。隊員のほぼ全員が男性の、主に陸軍と海兵隊の戦闘部隊で抵抗感が強く4~6割が「悪い影響がある」と回答した。
 
 ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は、戦闘部隊における抵抗感を踏まえ、司令官レベルでは規制撤廃の影響をあまり楽観視していないことを認め、撤廃後の体制に移行する際は「十分な対応」が必要だとしたが、戦闘部隊の否定的な反応は「克服できない障害ではない」と報道陣に語った。(c)AFP/Dan De Luce