【12月1日 AFP】28日投票のエジプト人民議会選挙の開票結果が30日夜、発表され、与党・国民民主党(National Democratic PartyNDP)が、当選者が決まった221議席中209議席を獲得して圧勝した。
 
 前回2005年の選挙では、総議席の約2割を獲得した最大野党のムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)は、今回は1議席も獲得できなかった。ムスリム同胞団は開票結果が公表される前に、現職16人を含む少なくとも26人の候補者が決選投票に残ったと発表した。

 508議席が争われた今回の選挙でホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領が率いる与党NDPは800人を超える候補者を擁立した。獲得票数が過半数に達しなかった287議席の決選投票は5日に実施される。

 選挙管理委員会は、有権者数はエジプトの全人口(約8000万人)のほぼ半数にあたる約4000万人で、投票率は35%だったとしている。

■2011年エジプト大統領選前に高まる懸念

 今回の選挙では、エジプト当局による選挙監視が行われたが、国際人権団体からは死傷者をともなう暴力行為や、不正投票、野党候補に対する脅迫が報告されおり、米政府は、こうした事例が数多く報告されたことに懸念を表明した。

 米政治アナリストによると、2011年に大統領選を控えたエジプトに対し、米オバマ政権は人権問題よりも中東における同盟国との側面を重視しているという。1981年から大統領の座にあるムバラク大統領は、次期大統領選への出馬の意志については明確にしていない。

 米国務省での勤務経験をもち、オバマ政権のエジプト政策アドバイザーも務める米外交アナリスト、ミシェル・ダン(Michele Dunne)氏は、米政府は、エジプトで30年ぶりの権力継承を前に政治的自由が衰退する兆候がみられることや、これに対してエジプト市民の間に不満がうっ積していることなどを憂慮しているという。(c)AFP/Samer al-Atrush