【11月14日 AFP】約7年半におよんだ自宅軟禁を前日、解除されたミャンマーの民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さん(65)が14日午後、ヤンゴン(Yangon)にある旧最大野党、国民民主連盟(National League for DemocracyNLD)本部で、支持者数千人を前に解放後の第一声を発し、民主化を目指して団結するよう呼び掛けた。

 濃紺の伝統衣装姿でNLDの本部前に集まった群衆の前に現れたスー・チーさんは、「わたしたちのためにエネルギーを注ぎ続けてください。力を合わせれば私たちの目標を達成できる。私はすべての民主主義勢力とともに働きたい」と語りかけ、自宅軟禁下にあっても軍事政権に対峙する姿勢に揺るぎはなかったことを示した。

 本部前の道路はスー・チーさんへのメッセージを書いた旗などをもった支持者が埋め尽くし、最初はスー・チーさんが前へ進めない場面もあった。

 平和的な抵抗運動のシンボルとして国際的な尊敬を集め、ノーベル平和賞受賞者でもあるスー・チーさんの解放は、支持者のみならず世界の指導者からも歓迎された。スー・チーさんは過去21年間のうち15年を軟禁下で過ごしてきたが、14日の演説では軟禁中は丁寧に扱われたと述べ、「軍事政権に敵意はない」と語った。

 また「私は人権を、そして法の支配を信じている」とも述べ、今後の活動の方向性については人びとの声を聞いてから決めたいとも語った。

■野党勢力再結集に注目

 ミャンマーで今月7日に行われた総選挙では、正統性が疑問視される中、軍事政権の翼賛政党、連邦団結発展党(Union Solidarity and Development PartyUSDP)が圧勝した。世界の人権活動家や欧米諸国は、軍政が見せかけの民主化の裏で支配の継続を目論んだ不正選挙だと批判している。

 今後は、スー・チーさんが野党勢力を再結集させられるかどうかに注目が集まる。NLDは今回の総選挙をボイコットしたことで解党処分を受けた。新党を結成して出馬した候補者に、スー・チーさんの側近たちから裏切り者呼ばわりする声もあがった。

 しかし、元NLDメンバーらが結成した野党の国民民主勢力(National Democratic ForceNDF)の指導者は、スー・チーさんを「ミャンマー民主化のたいまつ」と表現し、スー・チーさんと合流する用意があることを示唆した。(c)AFP/Hla Hla Htay

【動画】演説するスー・チーさん