【11月14日 AFP】横浜市で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議は14日、アジア太平洋自由貿易圏(Free Trade Area of the Asia PacificFTAAP)構想の実現を目指すことなどを軸とする首脳宣言を採択して、2日間の日程を終えた。

 国際経済が深刻な景気後退から脱しようとする中、首脳宣言は「開かれた市場を維持し、保護主義との戦いに引き続き取り組む。われわれは協力・協調して共通の決意をもって経済の回復を支えていくことをあらためて確認する」として、保護貿易主義への抵抗と、経済成長を取り戻すために協調する姿勢を示した。

 FTAAP構想は実現すれば世界人口の約40%を抱える巨大自由貿易圏になりうるが、現時点では具体性のない長期的な将来目標にとどまっている。宣言は「APECにとって、いまこそFTAAPを野心的なビジョンから具体的なビジョンに転換する時期だという点で合意し」、自由貿易協定は「包括的で質が高く、『次世代』の貿易・投資に取り組むものでなければならない」とうたった。

■TPP参加国首脳会合も開催

 横浜市では同日、APEC首脳会議に合わせて環太平洋パートナーシップ(TPP)協定参加国の首脳会合も行われ、菅直人(Naoto Kan)首相もオブザーバーとして出席した。

 世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が行き詰まり、保護貿易主義への回帰もみられる中、専門家の間ではTPPの拡大が唯一の希望なのではないかという見方もある。米政府はTPPを「域内経済統合へ向けた道筋のなかで最も進展がみられる」と評価している。

 TPP未参加国は慎重に推移を見守っているが、貿易自由化の動きに遅れを取りたくはないが、TPP参加国に課せられる可能性のある義務には及び腰というジレンマに悩む国も多い。(c)AFP/Martin Abbugao