【11月9日 AFP】ミャンマー軍事政権の翼賛政党、連邦団結発展党(Union Solidarity and Development PartyUSDP)の幹部は9日、同国で20年ぶりに実施された7日の総選挙で同党が議席の約80%を獲得したとAFPに語った。

 今回の総選挙に参加した民主化運動政党は恐喝や票数のごまかしが行われたと主張し、欧米各国も選挙の自由と公正が確保されなかったと批判している。

 その先鋒に立ったのがバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領だ。アジア歴訪中のオバマ大統領は8日、インド議会で行った演説で「選挙を盗むことは受け入れがたい。世界が注視するなか、ビルマ(ミャンマー)の政権は再び不正を犯した」と述べて軍事政権を批判した。

 国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長も「包括性、選挙への参加状況、透明性の全てが不十分だった」と、報道官を通じて選挙のあり方を批判した。

 軍事政権や選挙管理委員会などからは選挙結果に関する公式声明は出ていないが、野党各党が資金的にも選挙戦を進める上でも大きな障害に直面したことから、USDPの圧倒的勝利は確実視されている。

■カレン人武装組織と政府軍の戦闘、避難民2万人に

 総選挙はほぼ軍事政権の思惑どおりに進んだといえるが、東部カイン(カレン)州ミャワディ(Myawaddy)で総選挙翌日の8日、少数民族カレン人の武装組織とミャンマー政府軍との間で戦闘が勃発した。これまでに国境を越えて隣国タイに避難した住民は2万人に上り、少なくとも民間人3人の死亡が確認されている。武装組織、国軍に死者が出たとの情報はない。

 地元の住民たちは9日、国軍と戦闘になったのは民主カレン仏教徒軍(Democratic Karen Buddhist ArmyDKBA)の武装勢力で、政府軍に追われて周辺の森林に逃げ込み、時折、遠方から銃声などが聞こえると語った。ある住民は「わたしたちは、政府軍はDKBAを壊滅させようとその後を追ったと思っている」と語った。(c)AFP

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