【11月5日 AFP】ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)さん率いる国民民主連盟(National League for DemocracyNLD)の共同創設者、ウィン・ティン(Win Tin)氏は4日、英紙タイムズ(Times)の記事上で国際社会に向け、観光客としてミャンマーを訪れて人びとの苦境を自分の目で確かめてほしいと呼びかけた。

 ミャンマーへの観光をめぐっては、観光収入が軍事政権を財政的に支えるとしてボイコットする動きが主流。スー・チーさんも「今(同国を)訪問することは、軍政を許容するに等しい」とたびたび訴えてきた。

 しかしウィン・ティン氏は、現在のNLDはむしろ、外国人にもっと「ビルマ」の現状を知ってもらいたいと考えていると述べ、「軍政を支援するためではなく、政治的、経済的、道徳的――あらゆる状況を理解することによって、国民を助けるため、ビルマに来てほしい」と語った。

 ミャンマーには、かつてのビルマ王国の首都マンダレー(Mandalay)や世界三大仏教遺跡の1つであるバガン(Bagan)の仏教寺院などの観光名所があるが、外国人観光客の多くは同国訪問を避けている。公式統計によると、2009年に空路で最大都市ヤンゴン(Yangon)を訪れた外国人は23万人で、うち観光客は半数余り。対して、隣国タイの外国人訪問者数は1400万人と、差は歴然としている。

 ウィン・ティン氏は、外国人観光客が増えれば、ミャンマーが国際的な精査に開かれることになり、国民が直面している問題への理解も進む上、人びとの収入も増えるとしている。

 ただ、観光収入の増加が軍政を利するとの懸念は依然として消えていない。

 ミャンマーでは7日に20年ぶりとなる総選挙が実施されるが、NLDはボイコットを表明、軍政の定めた新選挙法の期限内に政党としての再登録を拒否し、解党となっている。20年前の選挙ではNLDが圧勝したが、軍政はこの結果を認めていない。(c)AFP