【11月2日 AFP】ボディビルチャンピオンからハリウッドの映画スター、そして米カリフォルニア(California)州知事へと転身したアーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)知事(63)の任期も、残すところわずかとなった。2日には米中間選挙と併せて知事選が行われ、新たなカリフォルニア州知事が決まる。来年1月には、米国で最大の人口を持つ同州の知事職を退く。

 現在、世間の関心は、シュワルツェネッガー氏が次に何をするのかに集まっている。

 シュワルツェネッガー氏自身は前月、訪問先のモスクワ(Moscow)で、「映画の制作とか、本を書くとか、選択肢はいろいろある」と語りながらも、当面は知事職に専念するつもりだと強調した。

■連邦議員?オバマ政権で環境ポスト?

 知事を意味する「ガバナー」と出世作となった『ターミネーター(Terminator)』を掛け合わせて「ガバネーター」の愛称でも知られるシュワルツェネッガー氏は7年間、カリフォルニア州知事を務めた。

 2006年の知事選で、環境政策を訴えるなどリベラル寄りの姿勢を見せて再選を果たしたが、カリフォルニア州が抱える膨大な赤字を解消することはできず、最近では支持率が低下していた。

 それでも、シュワルツェネッガー氏が持つカリスマは依然として強力な輝きを放ち、セレブ政治家としての地位に揺るぎはない。

 シュワルツェネッガー氏が次回の総選挙に立候補し、米連邦議会入りを狙っているとの憶測も出ている。だが、自意識が強いシュワルツェネッガー氏が、大勢の連邦議員のひとりでいることに満足するだろうかと疑問視する向きもある。

 その一方では、同氏がオバマ政権でなんらかの環境関連のポストを得るのではないかとも噂されている。

■映画への復帰は?

 こうしたなかで、ただ1つ明らかなのは、シュワルツェネッガー氏がいくら国政への野望を抱こうと、2012年の大統領選に立候補することは不可能だということだ。

 米国憲法は、米国生まれでない人間が大統領候補になることを禁じている。シュワルツェネッガー氏は米国民ではあるが、オーストリア生まれであるため、米国で最高の地位にある米大統領職に就くことは、かなわないのだ。

 では、米映画界へのカムバックは、あり得るのだろうか。

 映画『トゥルーライズ(True Lies)』でシュワルツェネッガー氏と共演したトム・アーノルド(Tom Arnold)氏が前年、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に「ジェームズ・キャメロン(James Cameron)監督が撮っている映画に、ぼくとアーノルド(シュワルツェネッガー氏)が出ることになっていて、撮影はアーノルドが知事を辞めた翌日から始まると聞いている」と語ったことで、映画界復帰への期待が高まった。

■任期中は知事職に尽力

 だが、シュワルツェネッガー氏は、当面は政界に身を置くことを楽しんできた。カリフォルニア州での政治家としての栄光は多少失われたとはいえ、同氏は今でも外遊先ではスター政治家だ。

 今年初頭のインタビューで、知事引退後の計画について尋ねられたシュワルツェネッガー氏は、「(知事の)仕事を続けるのみだ。ゴールを超えるまで全力疾走するよ」と答えている。

 さらに、米テレビABCでも、次のように語っている。「(任期後の)来年や将来については、考えないことにしている。大切なのは現在だ。今、やるべきことがある。カリフォルニアに尽くすことだ」(c)AFP/Michael Thurston