【10月21日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が、ITを活用した選挙戦を展開してホワイトハウス(White House)に乗り込んでから2年。11月2日に投票を控えた米中間選挙でも、当選を目指す候補者たちにとって、デジタルメディアは必須のツールになっている。

 政界のITテクノロジー利用についてのブログ「techPresident.com」の共同創設者、アンドリュー・ラーシェイ(Andrew Rasiej)氏は、「優勢を狙う政治家は全員、フェースブック(Facebook)などのソーシャルメディアを使っている。選挙戦におけるソーシャルメディアの有益性、つまり有権者層に狙いを定め、資金を集め、自陣営への投票を促すということが、新たな選挙戦の場になってきている」と語る。

 オンライン上での政治活動に関するウェブサイト、「Epolitics.com」の創設者で編集長のコーリン・デラニー(Colin Delany)氏も、「ソーシャルメディアというツールは、もの珍しいという段階を終え、もはや標準的な選挙戦の一要素になった」と語る。

■特性に合わせて使い分け

 21世紀のオンライン選挙運動はウェブサイトから始まった。

「ウェブサイトは基本だ」とラーシェイ氏。「たくさんの人にウェブサイトに来てもらうことは重要だが、もはやそれが焦点ではない。多くの人が集まっているネットワークへ出て行くことに、焦点が移ってきている。ウェブサイトが選挙事務所のようだとすれば、ソーシャルメディアは町の公会堂のようなものだ。事務所の前にポスターを貼っておくだけよりも、公会堂に行った方がずっと多くの人に候補者の主張を知ってもらえる」

 多くの候補者にとって、5億人のユーザーがいる大手SNSサイト、フェースブック(Facebook)が、その現代の「公会堂」になっている。

 米下院一のIT通を自認し、フェースブック上に4000人の「友人」を持つテキサス(Texas)州選出のジョン・カルバーソン(John Culberson)下院議員(共和党)は、フェースブックは将来的に中心的な存在になるだろうと高く評価する。

 ただし、カルバーソン議員のツイッター(Twitter)アカウント(@johnculberson)にはフェースブックの友人をはるかに超える1万3500人のフォロワーがいるが、「思慮のない書き込みが多すぎる」のでツイッターは止めるそうだ。

 ラーシェイ氏は、オンライン選挙戦で大事なことは「フェースブックのプロフィールを定期的にしっかり更新し、動画共有サイト・ユーチューブ(YouTube)で出馬した理由を説明し、ツイッターで候補者本人がツイートすること」だと指摘する。「スタッフにツイートさせても、ソーシャルメディアを使っている人が見れば、すぐに本人のコメントではないと分かってしまう」という。

■検索広告を選挙戦に

 電子メールも依然、重要だ。デラニー氏によると、電子メールはフェースブックやツイッターよりも有権者が対応する割合が高く、また、SNSのアカウントを持っている人よりも、電子メールアドレスを持っている人の方がはるかに多いという利点もある。

 今回の中間選挙で多くの候補者が使っているIT技術は、前回の大統領選でオバマ氏が使ったものとあまり変わっていないが、techPresidentの共同編集者、ナンシー・スコラ(Nancy Scola)氏ら専門家は、米検索大手グーグル(Google)の検索広告を使う候補者がかつてないほど増えていると話す。「eコマースの手法が、eポリティクスに採用され出している」

 デラニー氏はその理由として、グーグルやフェースブックの広告は、選挙区や有権者の属性でターゲットを絞り込めるので、広告費を無駄なく使えることを挙げる。

■共和党もIT活用で追いつく

 共和党はこれまでITの活用で民主党に後れを取っていたが、この2年で急速に進歩し、「驚くべきことに、今では多くの点で民主党より進んでいる」(ラーシェイ氏)。

 しかし、カルバーソン議員は現在の技術にも不満があるようだ。「大勢の選挙区民に私の行動をリアルタイムで知ってもらえるようなソーシャルメディアを、誰かが作ってくれないものか。誰かがそんなアプリを作ってくれると確信していますよ」(c)AFP/Chris Lefkow