【9月26日 AFP】ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は26日、3日間の中国訪問のため遼寧(Liaoning)省大連(Dalian)市に入った。

 ロシアと中国の元軍人を前にメドベージェフ大統領は、「中国との友好関係はロシアが戦略的に選択したものであり、この選択は昔から血によって結ばれている。有事によって揺るぎないものとなったロシアと中国の人々の友情は今後も壊れることなく、将来の世代の役に立つだろう」と述べた。

 メドベージェフ大統領は日露戦争と第2次世界大戦で旧日本軍と戦って亡くなった数千人の旧ソ連軍戦没者が眠る旅順(Lushun)の墓地も訪問した。

 今回の訪中にはロシアのエネルギー関係の高官や経済界の大物らが随行している。メドベージェフ大統領は27日に北京(Beijing)で胡錦涛(Hu Jintao)国家主席と会談し、エネルギー協定を含むいくつかの協定に調印する。

 エネルギー供給先の多様化を図り世界第2のエネルギー消費国である中国とガス供給について協議してきたロシアは、中国からの投資拡大にも期待を寄せている。

 メドベージェフ大統領は28日に上海(Shanghai)入りし、上海万博(World Expo 2010)のロシア館を視察する予定になっている。

■大連-旧ソ連と日本の元租借地

 尖閣諸島(Senkaku Islands)沖で起きた中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突事件で日中関係がもつれる中、メドベージェフ大統領は大連を訪問した。

 大連は1898年、中国から25年の契約でロシアが租借したが、日露戦争(1904~05)の転換点となった旅順での戦闘でロシアが日本に敗れ、大連は日本の租借地となった。多くの中国人は大連の租借を、衰退しつつあった清王朝が押し付けられた「不平等条約」の一部だったと考えている。1945年、対日参戦したソ連軍が旅順から日本軍を追放し、数年後に旅順の軍事基地は中国に返還された。(c)AFP/Anna Smolchenko