【9月22日 AFP】ウォーターゲート(Watergate)事件のスクープで知られる米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)のベテラン記者、ボブ・ウッドワード(Bob Woodward)氏の新著で、米オバマ政権が前年アフガニスタンをめぐる新戦略を策定した際にホワイトハウスと国防総省の間で激しい政権内対立があったことが暴露されると、米メディアが21日報じた。

 27日発売の『Obama's Wars(オバマの戦争)』によると、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はアフガニスタンの「長期的な国づくり」への関与をことごとく拒んだという。

 アフガニスタン戦略はオバマ大統領の任期全体を特徴付けるものになると見られているが、同書はホワイトハウス安全保障チーム内部の亀裂、不信感、内紛を暴く内容となっている。

■出口戦略探す大統領VS.増派求める国防総省

 ウッドワード氏はオバマ大統領本人や政権高官への接触を通じ、アフガニスタンから米軍を撤退させる道を大統領が見出そうとする一方で、不協和音によって摩滅するホワイトハウスの安全保障チームを描いている。

 ワシントン・ポストが掲載した同書の抜粋によると、オバマ大統領は「わが軍の兵力を減らせるところまで、どのようにたどり着けばよいのかという点に、今われわれが行っているすべてを集中させなければならない」と出口戦略の必要性を主張し、「長期的な国づくり」への関与は断固拒絶した。 

 09年12月、オバマ大統領はアフガニスタンへの3万人の増派と、2011年7月の撤退開始目標を決定したが、その2か月前の10月、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官との会議では、国防総省による4万人増派の要求をはねつけた。

 その際、オバマ大統領はゲーツ、クリントン両長官に対し「10年もやるつもりはない。長期的な国家建設には関わらない。1兆ドルも使うつもりはない」と述べたとされる。

■感情の爆発、「ゴキブリ」などの陰口も

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)も新著を入手したとして、普段は冷静沈着で有名なオバマ氏が決断を迫られ、声を荒げることがたびたびあり、ある時などは「今やっているところだろう」と爆発したとのエピソードを紹介した。

 また同書は、政権内の対立する派同士の論争が、時に辛らつな個人攻撃の様相を帯びることもあったと暴露している。たとえば、ジェームズ・ジョーンズ(James Jones)米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がオバマ氏の側近のことを「ゴキブリ」「マフィア」「選挙道具」などと呼んで陰口を叩いていたという。

 さらに、イラク戦争での戦術が高い評価を得ているデービッド・ペトレアス(David Petraeus)アフガニスタン駐留米軍司令官について、現政権からは締め出されているように感じているとも伝えている。ペトレアス氏は、デービッド・アクセルロッド(David Axelrod)大統領上級顧問のことを「情報操作屋」だと思っていると、自分の側近に語ったとされる。(c)AFP