【9月15日 AFP】国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は14日、国連の女性関連の組織を統合した新組織「UNウィメン(UN Women、正式名称:UN Entity for Gender Equality and the Empowerment of Women、男女平等と女性の社会的地位強化のための国連機関)」の初代トップに、チリのミチェル・バチェレ・ヘリア(Michelle Bachelet Jeria)前大統領(58)を任命したと発表した。

 UNウィメンは、国連女性開発基金(UNIFEM)、女性の地位向上部(UN Division for the Advancement of WomenDAW)、国連国際婦人調査訓練研修所(UN International Research and Training Institute for the Advancement of WomenINSTRAW)、ジェンダー問題と女性の地位向上に関する事務総長特別顧問室(Office of the Special Adviser on Gender Issues and Advancement of WomenOSAGI)の4つの組織を1つに統合する。潘事務総長は「力強くダイナミックで効果的な1つの組織になる」と語った。

 UNウィメン設立は7月の国連総会(UN General Assembly)で採択された。2011年1月に本格的な活動を開始する。UNウィメンは、潘氏にとって2007年に事務総長に就任して以来、最も優先度の高いことの1つだったという。潘氏は、バチェレ氏ならば「本物の力を持った組織」にすることができると語った。

■課題山積、手腕に期待

 バチェレ氏は大統領在任中の4年間に、ローマ・カトリック教会(Roman Catholic Church)の信徒が多い同国の議会で性的虐待被害者への緊急経口避妊薬(モーニングアフターピル)投与を認める法律を成立させるなどの画期的な社会立法を実現させてきた。

 チリ史上もっとも人気のある指導者の1人で、ことし3月の大統領退任時の支持率は80%を超えていた。ことしに入ってUNウィメンのトップ就任の打診を受けたが、当初はあまり乗り気ではなかったという。

 国連は「男女の不平等はあらゆる社会に依然として深く根付いている」との見解を示しており、この新たなポストは厳しいものになると予想される。コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部で8月初頭に起きた女性数百人に対する集団レイプ事件や、新生児の死亡率を減らす取り組みまで問題は山積みで、解決には政治的実行力と膨大な資源とが必要とされる。

 UNウィメンのトップには26人が候補に上り、そのうち最終選考に残った3人を潘事務総長が面接した。潘氏の最終的な判断は選考委員会で全会一致で承認された。ほかの候補者たちの名前は明らかにされていない。(c)AFP/Tim Witcher