【8月8日 AFP】キューバのフィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長(83)は7日、病気のため2006年7月に弟のラウル・カストロ(Raul Castro)現国家評議会議長(79)に議長職を移譲した後としては初めて、人民権力全国会議(国会)で演説した。

 8月13日の誕生日を前にオリーブ色の軍服に身を包んだカストロ氏は元気そうで体重も増えたように見えた。大統領や議員らは「ビバ・フィデル(フィデル万歳)」と叫んで議場に入った前議長を歓迎した。

 演壇に立ったカストロ氏は、米国とイスラエルによるイランへの核攻撃を懸念していると語り、イラン攻撃の実施はバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の判断次第だが、それがもたらす結果を考えればオバマ氏は攻撃をしないだろうと述べた。

「オバマのいいところは、彼が(リチャード・)ニクソン(元米大統領)ではないことだ。ニクソンはシニカルな男だった。あの国はシニカルな大統領が多く、教養がない大統領もいる」

 また、核兵器が拡散すれば世界の秩序は大混乱に陥ると警告した。一方で、キューバの経済状態や人権問題については言及しなかった。

 一時は公の場で立つこともできなかったカストロ氏だが、7月26日にはキューバ革命関連の催しに姿を現すなど、このところ公的な活動をする機会が増えている。国家評議会議長をやめた後もキューバ共産党中央委員会第一書記であり、人民権力全国会議の議席も維持している。7日の演説は、カストロ氏の健康が改善し、まだ政治に関わる力があることを示す狙いがあるとみられる。(c)AFP/Isabel Sanchez

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