【7月26日 AFP】アフガニスタンにおける軍事作戦に関する米国防総省の機密文書約9万2000点をウェブ上で公表した内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏(39)は、情報の開示に対する反発の声が高まっているのは同サイトが創設の使命を順調に果たしつつある証拠だとの認識を示した。

「優れたジャーナリズムは、本質的に物議を醸すものだ」と、アサンジ氏は英紙ガーディアン(Guardian)に語った。

「権力者の横暴と戦うことこそ、優れたジャーナリズムの役目。そして権力というものは、挑戦されると決まって反発するものだ。つまり、物議を醸している以上、情報公開は良いことなのだ」

■元ハッカーが設立した「大衆のための情報機関」

 オーストラリア人のアサンジ氏は、元ハッカーでコンピューター・プログラマー。2006年、「大衆のための初の情報機関」を掲げ、ウィキリークスを立ち上げた。世界中の匿名の内部告発者から情報提供を受けており、サイト運営用のサーバーは、アサンジ氏によると情報保護法制の整ったスウェーデンやベルギーなどに置かれている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、編集に携わるフルタイムのボランティアは10人弱で、ほかに暗号化、プログラミング、ニュース記事編集などに精通した800~1000人が協力体制にあるという。

■国、企業、研究者などの「内部告発」を次々公表

 ウィキリークスの名は2009年、多国籍海運企業トラフィギュラ(Trafigura)がコートジボワールで有毒廃棄物を不法投棄したことを示す内部資料を公表したことで、国際的に一躍有名になった。

 最大のスクープは、今年4月に公表した、イラクのバグダッド(Baghdad)で07年7月に米軍の攻撃ヘリコプターが記者や市民を銃撃する生々しい空撮映像だ。この映像を漏えいしたとして、米陸軍上等兵が今月起訴されている。

 このほか、キューバ・グアンタナモ湾(Guantanamo Bay)の収容施設の運営手順や、地球温暖化問題で世界有数の研究機関である英イースト・アングリア大学(East Anglia University)の気候研究ユニット(Climatic Research UnitCRU)の研究者たちのデータの改ざんを臭わせる電子メールなどを公表してきた。

 オーストラリア当局は5月、アサンジ氏のパスポートを一時押収した。6月には同氏の弁護団が同氏に対し渡米は避けるよう助言したという。

 米政府は、ウィキリークスの情報公開は国家の安全保障を脅かし人命を危険にさらす上、偏った見方をしている可能性もあると繰り返し批判している。(c)AFP

【参考】内部告発サイト「WikiLeaks」(英語)