【7月14日 AFP】イラン政府が米情報機関によって拉致されたと主張していたイラン人核科学者シャハラム・アミリ(Shahram Amiri)氏が、ワシントンD.C.(Washington D.C.)に滞在していることが明らかになった。米当局は13日、同氏が「しばらくの間」米国内に滞在していたことを認める一方、自由に出国できる状態にあるとしている。

 アミリ氏は14日、米国でイランの利益代表を務める在米パキスタン大使館に保護された。これを受け、米当局はアミリ氏が米国内にいることを初めて認めた。

 イラン政府はアミリ氏について、前年、巡礼のためにサウジアラビアを訪問した際に米情報機関によって拉致されたと主張している。一方で、同氏が亡命し、米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)に協力しているとの憶測も高まっていた。

 米政府当局は拉致を否定しているが、6月には、アミリ氏と称する人物がバージニア(Virginia)州で米情報機関から逃走したと主張する複数のビデオ映像がインターネット上で出回っている。

 米テレビ局ABCは3月、アミリ氏が亡命したと報じ、イランの核開発計画を妨害する「情報機関による見事な作戦」だとする米当局者の話を伝えている。

 アミリ氏はイランメディアに対し、厳しい「心理的圧力」下に置かれ「武装した要員」に常時監視されていたと述べるとともに、「早急なイランへの帰国」を求めていると語った。

 アミリ氏は失踪前、革命防衛隊(Revolutionary Guards)とも近いとされている、テヘランのマレク・アシュタル大学(Malek Ashtar University of Technology)に勤務していた。(c)AFP/Shaun Tandon