【7月1日 AFP】イスラエル軍の特殊部隊がパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)に向かっていたトルコ船籍の支援船を襲撃したために悪化していた両国関係を打開するため、イスラエルとトルコの閣僚が秘密会談を行っていたことが明らかになった。

 しかしこの情報が事前にイスラエルのアビグドル・リーバーマン(Avigdor Lieberman)外相にまったく伝えられていなかったため、外相とベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の関係が悪化している。

 トルコとイスラエルのメディアは6月30日夜、トルコのアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)外相がベルギーでイスラエルのベンヤミン・ベンエリエザー(Benjamin Ben Eliezer)通産相と秘密会談を行ったと伝えた。

 トルコの外交筋はベルギーのブリュッセル(Brussels)で会談が行われたことを認めたが、イスラエル当局は30日にベンエリエザー通産相が「あるトルコ高官」と会ったとだけ語った。

■「蚊帳の外」でリーバーマン外相激怒

 会談の詳細はイスラエルの(Avigdor Lieberman)外相には伝えられず、同外相はテレビの報道で初めて秘密会談について知った。イスラエルが公式に会談を認めないのは、ネタニヤフ首相とリーバーマン外相の関係悪化を避けるためだとみられている。

 秘密会談を知ったリーバーマン外相は激怒。外務省は「外務省に連絡することなくこのような会談を行ったことを外相は極めて重大に受け止めている。政府のあらゆる規範に反するもので、外相とネタニヤフ首相との関係をひどく損なうものだ」との声明を発表した。

 これを受けネタニヤフ首相側は、外相に連絡が行っていなかったのは「技術的な不手際だった」との声明を出した。

 しかしリーバーマン外相が「民放のチャンネル2(Channel 2)のニュースでこのことを知ったのは、同外相がひどく軽視されていることの現れだ」と、あるイスラエル政府高官は匿名を条件に語る。

■首相と外相の関係修復は見えず

「ベンエリエザー通産相は対トルコ関係を一手に担ってきた。トルコ側が信頼し、トルコ側と長期にわたる関係を築いているのは彼で、彼が秘密交渉に出席したのは理解できる。外相以外の閣僚が(対トルコ問題の解決に)関わることもあるだろう。しかし、外相に全く連絡がなかったとすれば、外相に対して大変失礼な話だ」と語った。

 ベンエリエザー通産相に近い筋はイスラエルの日刊紙イディオト・アハロノト(Yediot Aharonot)に、トルコとの外交上の危機が悪化したひとつの大きな原因はリーバーマン外相にあり、同外相に秘密会議を知らせなかったのは正しかったと述べた。米政府も秘密会談の計画に関わっていたとの報道もある。

 イスラエルの公共ラジオは、ネタニヤフ首相とリーバーマン外相が電話で会談できるよう首相側近が手を尽くしていると報じている、会談は実現していない。外相の側近は、外相に連絡がつかないのは「技術的な理由による」と説明している。(c)AFP/Hazel Ward