【6月13日 AFP】イランでは12日で、マフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領が再選を果たし、直後に大規模な反政府デモが発生した大統領選から1年がたった。改革派は同日、自由を求める声明を発表したが、1年前のような大規模な衝突は起きなかった。

 大統領選にも出馬したミルホセイン・ムサビ(Mir Hossein Mousavi)元首相やメフディ・カルビ(Mehdi Karroubi)元国会議長などの改革派指導者は、新たな反政府集会を計画していたが、安全上の懸念から中止した。

 一方で、政府当局は反政府デモを警戒し、テヘラン(Tehran)市内各地、特にテヘラン大学(Tehran University)やシャリフ大学(Sharif University)周辺に数千人規模の治安部隊、警官隊、イラン革命防衛隊傘下の民兵組織「バシジ(Basij)」などを配置している。

 国営イラン通信(IRNA)の子会社、ボルナ(Borna)通信は、ムサビ支持派のテヘラン大の学生が、改革派のスローガンの1つである「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫びながらデモを行ったと報じた。ただ、このデモは短時間で解散したという。

 警察当局幹部は、イラン学生通信(ISNA)に対し、テヘランで数人が拘束された以外、全国規模では問題は報告されていないと語った。

 前年6月の大統領選ではアフマディネジャド大統領が再選されたが、改革派は大規模な不正があったとして反政府デモを展開。治安部隊は武力で鎮圧を図り、多くの死傷者が出た。

 大統領選の結果は、イランの政治エリートの間に深い亀裂を作るとともに、アフマディネジャド支持を公言していた最高指導者のアリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師の権威も危機的な状況に陥った。

 ハメネイ師は、反政府デモについて、イランの体制崩壊を目的として欧米諸国が陰で糸を引いていたと非難した。

 一方、イラン革命の指導者、故ルホラ・ホメイニ(Ruhollah Khomenei)師に近いムサビ氏やカルビ氏は、こうした非難を否定。改革派の運動「Green Movement」は、自由な選挙や表現の自由、人権の尊重などの革命の大志を実現するための草の根運動だとしている。(c)AFP/Jay Deshmukh