【6月10日 AFP】ロシアのインタファクス(Interfax)通信は10日、国連安全保障理事会(UN Security Council)が9日に対イラン追加制裁を採択したこと受け、ロシアはイランへの地対空ミサイル「S-300」の売却を凍結するという消息筋の話を報じた。

 これによると、ロシアの武器輸出を統括している連邦軍事技術協力局(Federal Service for Military-Technical CooperationFSMTC)内部の人物が「国連安保理の決定を履行するのは義務であり、ロシアも例外ではない。当然、S-300ミサイルの売却契約も凍結されるだろう」と述べたという。

 しかし、ロシア連邦下院国際問題委員会のコンスタンティン・コサチェフ(Konstantin Kosachev)委員長は、追加制裁でイランへの大型武器輸出は禁止されたものの、S-300のような防衛的なシステムは対象になっていないと述べた。もっとも、国連安保理の追加制裁は攻撃的武器と防衛的武器を区別していない。

 ロシアは数年前にS-300ミサイルシステムを提供することでイランと合意していたが、イランの防空能力が大幅に強化されることを恐れた米国とイスラエルの圧力を受けて、引き渡しはまだ行われていない。

 アナリストや外交関係者の間では、イスラエルはS-300がイランの手に渡ることを極度に警戒しているため、ロシアがイランにS-300を引き渡すとの情報があれば、イラン空爆に踏み切るのではないかという見方もある。

 前年7月に貨物船「アークティック・シー(Arctic Sea)」が行方不明になり、8月中旬に発見されたときには、この船がイラン向けのS-300ミサイルを積んでいたのではないかとの疑惑が持ち上がったが、ロシア政府はこれを強く否定した。(c)AFP