【5月18日 AFP】タイの首都バンコク(Bangkok)の中心部を占拠しているタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派「反独裁民主統一戦線(UDD)」(通称「赤シャツ隊」)は18日、上院議員らによる政府との仲介受け入れを決めた。

 事態を憂慮した上院議員約60人が前日、政府とUDDの双方に混乱の収拾に向けた協議を仲介するという書簡を送っていた。

 これについて、UDD幹部のナタウット・サイグーア(Nattawut Saikuar)氏は上院議員の仲介を受け入れ、政府との協議に臨む用意があると述べた。ナタウット氏は「協議にあたって条件は一切つけない。上院議員が出したどのような提案でも検討する」としている。UDDは国連(UN)などの国際機関による仲介を求めていたが、その後撤回していた。

 一方、サティット・ウォンノントイ(Satit Wonghnongtaey)首相府相は18日夕、「デモ隊が解散して初めて、状況の解決と交渉につながる」と述べたが、解散すれば交渉に応じるのかは明言しなかった。

 サティット首相府相は、「アピシット・ウェチャチワ(Abhisit Vejjajiva)首相は常に交渉を支持しているが、これまで2度行われた政府とUDD側の交渉は、外国にいる人物の妨害によりいずれも失敗に終わっている。現在の状況は制御不可能であり、暴力的な事態にむけて激しさを増している」と述べた。外国にいる人物とは海外逃亡中のタクシン元首相を指すとみられる。

 抗議行動を続ける反政府派のリーダーらは、混乱打開に向けた交渉の前に治安部隊を撤退させるよう政府に求めているが、政府側はデモ隊の解散が先との主張を変えていない。

 警察発表によると、女性や子ども数百人を含む約5000人の反政府派が現在も占拠を続けているほか、市内の3か所で同様に反政府派が集まっているという。

 反政府派と治安部隊との2か月におよぶ攻防で、これまでに67人が死亡、1700人あまりが負傷した。路上で激しい衝突が起きたこの5日間だけで38人が死亡している。(c)AFP/Anusak Konglang