【5月14日 AFP】(一部更新、写真追加)タイの首都バンコク(Bangkok)で14日、中心街の占拠を続けるタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派「反独裁民主統一戦線(UDD)」(通称「赤シャツ隊」)と治安部隊が衝突して治安部隊が発砲、これまでに1人が死亡し、少なくとも21人が負傷した。

 観光客に人気のスアンルム・ナイトバザール(Suan Lum Night Bazaar)付近では、銃声が響く中、UDD支持者らが無人の警察車両や破壊された軍車両、放水器などに放火、周辺は騒然となった。また、衝突を取材していたフランスの国際ニュース専門テレビ局「フランス24(France 24)」のカナダ人ジャーナリストと、タイ紙マティチョン(Matichon)のカメラマンの2人が足を撃たれ、負傷した。

 一方、赤シャツ隊のキャンプ地に近いルンピニ公園(Lumpini Park)周辺でも、治安部隊が発砲する様子が確認された。

 現地のAFP記者によると、治安部隊はまず赤シャツ隊に銃口を向けて発砲し、その後空に向かって威嚇射撃をしながら前進したという。催涙弾も使われ、デモ隊はタイヤで作ったバリケードに放火するなどして対抗している。

 事態を受け、国外逃亡中のタクシン元首相はバンコクの代理人を通じて声明を発表し、政府に対し治安部隊の後退と対話を求めた。

 軍は衝突に先立ち「テロリスト分子」に対しては殺傷能力のある武器の使用も辞さないと警告していた。軍報道官は、赤シャツ隊約2000人が「武力によって当局を脅迫している」ため、14日朝に出された命令に従って彼らを解散させていると述べた。ただ、同日中に赤シャツ隊を拠点から強制排除する予定はないとしている。プラウィット・ウォンスワン(Prawit Wongsuwon)国防相は、治安部隊の行動はUDD幹部らを対話の席に付かせるための作戦だと説明した。

 バンコク市内では軍が各地で交通を遮断し、赤シャツ隊の占拠地区を封鎖を封鎖している。(c)AFP