【5月12日 AFP】フランス国民議会(下院)は11日、イスラム教徒の女性が顔や体を覆うベールは「国家の価値観と相容れない」とする決議を出席議員全員の賛成で採択した。ベール禁止の法制化に向けた足固めが進んだかたちだ。

 採択された決議に法的拘束力はないが、今後、公共の場におけるブルカやニカブなどイスラム女性のベールの着用禁止をフランスが法制化すれば、ベルギーに次いで欧州で2国目となる。

 ベールは「フランス共和国の価値観に反する」と宣言した今回の決議には、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領率いる右派の国民運動連合(UMP)と野党社会党が珍しく一致して賛成した。結果は、採決に抗議し棄権した共産党議員約30人をのぞき、定数577の同議会のうち、出席した434人の議員全員が賛成した。
 
 内閣は来週にもベール禁止法案の検討に入る。同法案には顔全体を覆うベールを着用した女性への罰金や、そうしたベールの着用を妻や娘に強要した男性への禁固刑などが盛り込まれるとみられ、議会に上程されるのは7月になる見込み。公共の場でのベール着用禁止は治安上の観点から進められたが、法案に反対する動きも予想される。

 仏内務省は、同国内で頭からつま先までを覆うベールをかぶっている女性は2000人に満たないとしている。

 首都パリの通りに並ぶ高級ブティックなどでは、全身をすっかり覆った中東や湾岸諸国からの旅行客の姿がみられるが、議員たちは同法を旅行者にも適用する方針を表明している。(c)AFP/Carole Landry