【5月11日 AFP】イスラエル・ディモナ(Dimona)の原子炉で勤務経験のあるテルアビブ大学(Tel Aviv University)のウジ・エベン(Uzi Even)教授(化学)は10日、イスラエル陸軍のラジオで、イスラエルは数十年にわたって沈黙を守っている核兵器の保有について明らかにし、原子炉への査察を受け入れるべきだと語った。

 左派政党メレツ(Meretz)の国会議員だった経歴も持つエベン氏は、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が世界的な核兵器削減を推進していることは時代が変化したことの証しであり、イスラエルも足並みをそろえる必要があると指摘した。

 イスラエルは約200個の核弾頭を保有していることが公然の秘密となっているが、否定も肯定もしない「核のあいまい政策」を維持している。

 エベン教授は、「核のあいまい政策は、他の誰でもなくわれわれ自身を欺いているだけであり、もはや良いことはない」「これまでの40年近くは、効果的で、うまくいってきたかもしれない。だが、40年も経つと、多くのことは変わってしまう。はっきり言うと、この政策はもはやイスラエルの利益に合致しない」と語った。

 一方、エフド・バラク(Ehud Barak)国防相は10日、イスラエル国会で政策転換の予定はないと言明するとともに、オバマ大統領が政策転換をイスラエルに迫っているとは考えていないと語った。

 複数の報道によると、米国とイスラエルは1969年、イスラエルが核実験を行わず、核兵器保有を公表しない限り、米国はイスラエルの核兵器保有を黙認するとの合意を交わしたとされている。(c)AFP/Steve Weizman