【4月26日 AFP】9月に予定されているローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)の英国公式訪問の準備担当の英外務省職員が、訪問時の公式行事案として、中絶クリニックの開設や同姓婚の祝福、「法王ブランドのコンドーム」発売といった提案をしていたことが発覚し、英外務省が24日、公式に謝罪した。これを受けてバチカンは25日、「問題は解決した」との声明を発表した。

 この問題は、英紙サンデー・テレグラフ(Sunday Telegraph)が入手した「理想的な訪問とは」と題された英外務省の公式文書の中に、法王に中絶クリニックの開設や同性愛者の結婚の祝福、「法王ブランド」のコンドームの発売発表、「危険な司祭をクビにする」ことでカトリック聖職者の児童虐待問題への強硬姿勢を示してもらうことなどが提案されていたもの。

 文書に付けられたメモによると、これは3月5日に行われた準備担当者の会議で行われたブレーンストーミング(集団発想)の中で出された意見で、いくつかの発案については「現実離れしている」とのただし書きがあった。

 文書について英外務省は24日、「まったく愚かな文書だ。英政府ないし外務省の政策でも見解でもない」として陳謝し、問題の意見を出した20代の男性職員を法王の訪問準備担当から外したことを明らかにした。デービッド・ミリバンド(David Miliband)外相は「がくぜんとした」とのコメントを発表。また、フランシス・キャンベル(Francis Campbell)駐バチカン英国大使がローマ法王庁の高官に直接謝罪した。

 伊ANSA通信によると、こうした動きを受けて法王庁のフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長は25日、「われわれにとって問題は解決した」と述べるとともに、この問題が9月の法王訪英に何らかの影響を及ぼすことは「絶対にない」との見解を示した。

 これに先立って英紙タイムズ(Times)電子版は、ローマ(Rome)では文書に対する「激しい怒り」が湧き起こっており「今や法王の訪英そのものが危ぶまれる」との情報筋の見方を報じていた。(c)AFP