【4月23日 AFP】北朝鮮は23日、南北共同事業の象徴である金剛山(Mount Kumgang)観光地域内に韓国側が所有する施設などを没収し、前月起きた黄海(Yellow Sea)での韓国海軍哨戒艦の沈没をめぐり、両国は交戦の危機にあると警告を発した。

 また北朝鮮との「衝突」を望んでいるとして韓国の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領を非難し、金剛山観光は永久に中止すると発表した。

 3月に黄海上で発生し、乗組員46人が死亡した韓国海軍の哨戒艦「天安(Cheonan)」の爆発・沈没をめぐり、両国間の緊張が高まっている。北朝鮮の国営メディアは「戦争か平和かの道を分かつ危機的段階に達している。観光再開などありえない。このような状況下で南に対し、わが国が寛容や忍耐を見せることができないのは、あまりにも当然だ」と伝えた。

 金剛山観光は2008年に韓国人観光客が北朝鮮兵士に射殺された事件を機に、韓国側が事業を中断していたが、北朝鮮は韓国側が4月1日までに観光事業再開に同意しなければ「特別な措置をとる」と警告していた。この流れで北朝鮮は前週、金剛山地域にある韓国政府所有の5施設を差し押さえた上で、残りの施設も閉鎖し、韓国人職員は全員追放すると発表した。

 さらに今回の施設没収直前の22日には、先の哨戒艦沈没について韓国・聯合(Yonhap)ニュースが軍高官筋の話として、北朝鮮の潜水艦による魚雷攻撃が疑われるとの見方を報じた。この間、ふたつに割れて沈没した天安は、前週引き揚げられた船尾部分に続き、海中に残っていた船首部分も23日にクレーンで引き上げられ、海面上に姿を現した。24日に詳しい調査が行われるとみられ、原因究明はこの週末に重要な局面を迎える。(c)AFP/Lim Chang-Won