【4月5日 AFP】南アフリカで、白人だけの独立国家樹立を主張する極右組織の指導者が殺害された事件をめぐり、白人至上主義者らの報復や、民族対立激化の懸念が指摘されている。

 極右白人至上主義団体「アフリカーナー抵抗運動(Afrikaans Resistance MovementAWB)」のユージン・テレブランシュ(Eugene Terre'Blanche)議長(69)は3日、自身の農場で遺体で発見された。

 事態を受け、ジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)南アフリカ大統領は遺体発見から数時間後の4日未明にただちに声明を出し、国民に平静を呼び掛けた。AWBもまた、平静を呼び掛けた。

 カーキ色の制服とナチス・ドイツのかぎ十字に似たシンボルマークで知られるAWBは、1994年の全人種選挙の初実施前には相次ぐ爆弾攻撃を実行した組織。今後の対応については、5月1日に会合を開いて決めると発表したが、メンバーの中からは即時の報復を求める声も上がっている。

 同国の政治情勢に詳しい南アフリカ大学(University of South Africa)のDirk Kotze教授は、「右派勢力は一般的に非常にバラバラだ」と指摘する。「大きな事件に発展するような報復行動が起きるとは考えにくい。だが、散発的な単独による報復が行われる可能性はあり、こうした報復行動は予測が非常に難しい」

 南アフリカでは6月、サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)が開催される。同国ではこの大会を、民主化から16年を経た成果を世界に披露する場と位置づけている。(c)AFP/Justine Gerardy

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