【3月17日 AFP】イランのアリ・アクバル・サレヒ(Ali Akbar Salehi)副大統領兼原子力庁長官は16日、一度に1200キロの低濃縮ウランと核燃料をイラン国内で交換することを提案した。

 同副大統領が保守系紙ジャバン(Jawan)のインタビューで語ったもので、ウランの輸送に際して国際原子力機関( International Atomic Energy AgencyIAEA)の監視も受け入れる用意があることも明らかにした。

 国際原子力機関は前年、イランの低濃縮ウランをロシアに運び、濃縮度を20%に上げた後フランスで核燃料に加工してイランに戻すことを提案したが、イランは自国のウランが奪われる恐れがあるとして強硬に反対し、国際市場からウラン燃料を調達するか、イラン国内で低濃縮ウランと核燃料を順次交換することを提案していた。米国などはイラン国内での交換を受け入れず、ロシアも国連(UN)による新たな制裁に傾いていた。

 イランはこれまで、国内で交換する場合でも1度に引き渡す低濃縮ウランは400キロとしていた。今回の提案はイランが方針転換し、IAEA案に歩み寄ったものとして注目される。IAEAの最新の報告によると、イランは現在ナタンツ(Natanz)の核施設で製造した低濃縮ウラン2065キロを保有している。

 イランが前月、濃縮度20%のウランを製造したと発表したことに米国は強く反発したが、国連安全保障理事会(Security Council)では、拒否権を持つ常任理事国の中国や数か国の非常任理事国が新たなイラン制裁に消極的な姿勢を示している。(c)AFP/Jay Deshmukh