【3月6日 AFP】南アフリカのジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領は記念撮影を求められることも多いが、ズマ氏の一行がロンドン(London)のスーパーマーケットを視察した際、買い物中のある老夫婦はまったく気づかない様子だった。

 地元の買い物客、ジョンさん(92)とキャサリンさん(86)は、店頭に陳列されたチーズに夢中になっていたため、一国の大統領が背後を歩いていたことに気づかなかった。

 訪英中のズマ大統領は、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)とともにロンドンのバッキンガム宮殿(Buckingham Palace)に滞在しており、その日は首相官邸ダウニング街10番地(10 Downing Street)でゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相との会談を終えたばかりだった。大手スーパーマーケット「セインズベリー(Sainsbury's)」の視察は、南アフリカ製品の輸入に積極的なセインズベリーの店舗についてもっと知りたいとのズマ大統領の要望で行われた。

 しかし、ジョンさんとキャサリンさん夫妻は、ズマ大統領の訪英を知らなかったどころか、すぐ背後を歩いていることにすら気づかなかった。

 ズマ氏が通り過ぎた後、夫妻に、いまズマ大統領が通ったことを告げると、夫妻は「だれ?」と返答した。

 そこで、ヒラリー・ベン(Hilary Benn)環境・食料・農村相とセインズベリーのジャスティン・キング(Justin King)最高経営責任者の同行したズマ大統領一行が、夫妻の後ろを通り過ぎている写真を見せたところ、2人はけたけたと笑った。

「誰にも気づかなかったよ。チーズを選ぶのに一生懸命でね。大統領のことはほんの少しも見ておらんよ!」(ジョンさん)(c)AFP