【2月25日 AFP】インドとパキスタンの次官級会談が25日、ニューデリー(New Delhi)で行われ、08年のムンバイ同時襲撃事件後ほぼ凍結していた両国外交が14か月ぶりに復活した。

 インドのニルパマ・ラオ(Nirupama Rao)外務次官とパキスタンのサルマン・バシール(Salman Bashir)外務次官は印ニューデリーで3時間にわたり、地域の安全保障および米国のアフガニスタン戦略の要になると思われる会談を行った。ラオ外務次官は会談後の記者会見で、「相互の信頼回復のための最初の1歩」だと述べた。

 ただしラオ次官は、両国関係の正常化プロセスを進展させるために04年から開始された「複合的対話(Composite Dialogue)」に完全復帰するにはまだ時期尚早で、あくまで「信用と信頼感を醸成する時期」だと強調し、「接触を継続することでは一致した」と述べた。

 イスラム系武装グループ10人による襲撃で166人が死亡したムンバイ同時襲撃事件後、インド政府はパキスタン国内の武装勢力の犯行を指摘し、パキスタン政府が関係者の引き渡しに応じると同時に武装勢力を取り締まらない限り、接触の再開はないとしてパキスタンとの一切の協議を拒否していた。

 専門家らは今回、アフガニスタンで旧支配勢力タリバン(Taliban)の掃討作戦を主導している米政府が、南アジア地域の緊張を抑え込むために両国に接触の再開を説得したとみている。(c)AFP/Elizabeth Roche