【2月25日 AFP】ヨルダン川西岸(West Bank)にあるユダヤ教とイスラム教に共通する聖地2か所を、イスラエルが自国の文化財として修復計画の対象にすると発表したことを受け、パレスチナ自治政府高官は24日、和平交渉の再開を非常に困難にする動きだとの見解を示した。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は今週に入り、ベツレヘム(Bethlehem)にある「ラケルの墓(Rachel's Tomb)」とヘブロン(Hebron)の「マクペラ洞窟(Tomb of the Patriarchs、族長たちの墓)」を国の文化遺産修復計画に加える意向を示した。

 これに対しパレスチナ解放機構(Palestine Liberation OrganisationPLO)幹部のヤセル・アベド・ラボ(Yasser Abed Rabbo)氏は、「パレスチナ和平や真剣な和平交渉を望まないイスラエルの極右政権が、環境の悪化を狙っている意図的な行為の一環だ」と述べ、たとえ間接的な和平交渉であっても再開を「不可能とは言わないが、非常に難しくするだろう」と語った。

 2か所はユダヤ教とイスラム教の両方で聖地とされており、聖書に登場するアブラハム(Abraham)が葬られたと信じられているマクペラ洞窟は、数十年前からイスラエルとパレスチナの衝突の舞台となってきた。

 ヘブロンには16万人を超えるパレスチナ人が暮らす一方で、強硬派のユダヤ人入植者数百人が軍の保護の下、マクペラ洞窟付近に住んでおり、洞窟の上に建つイブラヒムモスク(Ibrahimi Mosque)の一部をシナゴーグとして使用している。(c)AFP/Hossam Ezzedine