【2月7日 AFP】イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は7日、国営放送で生中継された演説で、同国で生産しているウランの濃縮率を20%に引き上げるよう指示したことを明らかにした。

 同大統領は演説で、イランの核問題をめぐる欧米諸国との交渉がこう着していることに強い不満を表明し、「彼ら(欧米側)に2、3か月の猶予を与え、合意がなければわが国自身で(20%の濃縮を)始めると伝えてきた。今この時点で、アリ・アクバル・サレヒ(Ali Akbar Salehi)原子力庁長官に遠心分離器による20%濃縮を命ずる」と述べた。

 アフマディネジャド大統領は2日、イランの濃縮ウランを国外搬送するという国際原子力機関(IAEA)の提案に応じる姿勢を示したばかりで、今回の発表に、欧米からは即時強い反発が起こっている。
 
 IAEAは、イランが保有する3.5%の低濃縮ウランをロシアとフランスに搬送し、20%の研究炉用ウラン燃料に加工してイランに戻す構想を、イラン側に提案していた。
 
 イラン側はこれを拒絶し、イラン国内で加工済み燃料とウランを交換する代替案を提示したものの、今度は欧米諸国側がこの案を拒否。交渉は暗礁に乗り上げていた。
 
 アフマディネジャド大統領は7日の演説で、欧米諸国が「無条件で交換を行ってイランの研究炉と医療のために協力しましょうと申し出ることがあれば、わが国も協力しよう」とも述べ、欧米との交渉の道に余地を残す姿勢も示した。

 ただしサレヒ長官は、欧米側との交渉に応じられる時間は残り少ないと強調し、ファルス(Fars)通信によると「その用意がなければ、われわれは20%のウラン燃料を自前で生産できる」と述べた。(c)AFP/Jay Deshmukh