【2月3日 AFP】米航空宇宙局(NASA)のチャールズ・ボールデン(Charles Bolden)長官は2日、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領がNASAの有人月探査計画の打ち切りを発表したことについて、月探査計画中止は米国が宇宙への大志を捨て去ったことを意味するわけではないと語った。

 ボールデン長官はワシントンD.C.(Washington D.C.)の ナショナル・プレスクラブ(National Press Club)で 、「長期間にわたって維持可能な宇宙探査・開発計画を進めるには、投資をして革新的な宇宙技術とこれまでとは違う事業の進め方を作り上げなければならない」と語った。

 オバマ大統領は1日、予算教書の中で、2020年までに再び月に人間を送ることを目指す「コンステレーション(Constellation)計画」を中止することを明らかにした。この計画は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領政権時代に開始されたもので、大幅に予算が超過していた。

 米ホワイトハウス(White House)は、コンステレーション計画は、コストがかさむ上に時代遅れの技術を使っているとして中止する意向を示し、月への有人飛行は2028年までは無理だとの見解を示していた。

 オバマ大統領は、コンステレーション計画に代わって「われわれを技術革新と発見への新たな旅路へと駆り立てる、米国の創造力に投資する大胆かつ野心的な新宇宙構想」を立ち上げると語った。

 さらに、NASAが地球の低軌道に宇宙飛行士を送る商業宇宙輸送機を開発するため、今後5年間で60億ドル(約5400億円)の予算を支出する方針を明らかにした。だが、これは、大統領の諮問委員会が有人宇宙飛行計画の実現に必要だとした年間30億ドル(約2700億円)を大きく下回る規模だ。(c)AFP/Jean-Louis Santini