【1月21日 AFP】米国のロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官は21日、パキスタンとアフガニスタンの国境地帯について、アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)の「聖域」となっており、この地域を制圧できなければ両国ともいっそうみくびられ、さらに多くの致命的な攻撃にさらされると警告した。

 ゲーツ長官は2日間の日程でパキスタンを訪問中だが、その初日にあたる21日のパキスタン紙ニュース(The News)への寄稿で、パキスタンに対する米政府の関与を強調すると同時に、パキスタン国内で活動するタリバン系イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」に対する最近の軍事作戦を評価した。

 しかし米側は、同国領内に進入しているアフガニスタンのタリバン勢力や、北西部の部族地域で攻撃を計画し、仕掛けてくる国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の武装勢力などについても、パキスタン政府が攻撃を徹底するよう明確に、強く要請してきた。

 ゲーツ長官は「パキスタンのタリバン運動は、アフガニスタン領内のタリバン、アルカイダの両方と結託して動いている点を忘れてはならない。これらの集団を個別にすることは不可能だ」と記し、「歴史に従うならば、国境の両側にある両方のタリバンにとっての聖域は長期間のうちに、現在よりももっと致命的な、もっとふてぶてしい攻撃につながるだろう」と警戒を呼びかけた。

 またさまざまな原理主義勢力をひとつひとつ個々のものとして区別することは「非生産的」だとも述べ、「アフガニスタンとパキスタン国境の両側からこれらの勢力すべてに圧力をかけ、両国内外でテロ行為を広める者たちを破滅させてこそ、両国ともこの災いから逃れられる」と主張した。(c)AFP/Dan De Luce