【12月3日 AFP】アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は2日、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が前日に発表した米国の新しいアフガニスタン戦略を歓迎した。一方、アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)は攻勢を強める姿勢を示した。

 オバマ米大統領は1日夜(日本時間2日午前)、米国内で厭戦(えんせん)気分も高まっているアフガニスタンでの戦争に3万人を増派することで戦闘の主導権を握り、2011年7月までに米軍の撤退を始めることを目指すなどとする新しいアフガニスタン戦略を発表していた。

■アフガン、国連は新戦略を歓迎

 再選を決めた今年8月の大統領選挙で選挙違反が相次ぎ、欧米諸国から政権内の腐敗根絶を強く求められているカルザイ大統領は、米国のアフガニスタン新戦略を歓迎するとともに、アフガニスタンは国内の治安維持に一層大きな責任を負っていくと述べた。

 国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長も、特にオバマ大統領が軍事と民生の両面での努力が必要だと強調した点を評価し、米国のアフガニスタン新戦略を歓迎した。

■タリバンは徹底抗戦の構え

 現在、米国と北大西洋条約機構(NATO)から派遣された11万3000人を超える兵力がタリバンと闘っている。しかしこのところタリバンは、アフガニスタンの広い範囲で抵抗活動を活発化させており、その激しさは米国主導の攻撃をうけて政権の座から追われた2001年以降で最も強くなっている。

 タリバンはかつてアフガニスタンで英国やロシアの「侵略者」が体験したように、米兵の犠牲者を増やすとしている。

 タリバンのユスフ・アハムディ(Yousuf Ahamdi)報道官は、電話でAFPに対し次のような声明を読み上げた。「オバマはアフガニスタンから米国に向かう多くのひつぎを見ることになるだろう。軍事的な手段でアフガニスタンを支配するという米国の希望は実現することはないだろう」「アフガニスタンに増派されてくる3万人の兵士は、より強力な抵抗と戦闘を呼び起こすだろう。米軍は恥辱にまみれて撤退するだろう。彼らはその希望と目的を達成することはできない」(c)AFP/Sardar Ahmad