【11月17日 AFP】北朝鮮が中国への脱北者を防ぐ目的で過去10年間に中国の民間人を約200人拉致していたと、韓国の朝鮮日報(Chosun Ilbo)が17日、脱北者支援団体「北韓(北朝鮮)民主化委員会(Committee for Democratisation of North Korea)」の話として報じた。拉致された中国人は、北朝鮮の収容施設に収監されているという。

 拉致の多くは北朝鮮と国境を接する延辺朝鮮族自治州で1990年代末頃から、北朝鮮工作員や国境警備隊員などによって行われてきたとみられる。拉致されたのは朝鮮族の中国人たちで、脱北者を支援していたという。

 北韓民主化委員会が中国東北部・吉林(Jilin)省の長白(Changbai)県政府から入手した資料によって、こうした事実が分かったという。

 しかし、朝鮮日報によると、朝鮮戦争時に遡る北朝鮮との「血の同盟」関係を重視する中国政府は、これまで拉致された自国民の送還を公式に求めたことはない。それどころか、中国当局は拉致された中国人を「経済移民」と非難しており、帰還すれば厳罰に処されるという。

 ある朝鮮族住民は、朝鮮日報に対し「自国民の拉致問題について、中国政府は人道的観点よりも北朝鮮との特殊な血盟関係を優先させている」と話している。(c)AFP