【11月17日 AFP】国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)は16日、イランの核問題に関する報告書をまとめた。報告書の中で、IAEAはイラン政府に対し、テヘラン(Tehran)南方のコム(Qom)近郊で新たに発覚した核施設の目的についてさらなる情報提供を要求しているほか、ほかにも公表していない施設が存在する可能性があると指摘した。一方、イランは、この核施設を2011年から稼働させる計画であることを明らかにした。

 IAEAは、前月コムの核施設を査察して以来初となる公式報告書の中で、「イラン政府は当該施設の目的や計画・建設過程に関し、さらに明確に説明する必要がある」と指摘。また、イラン政府による情報開示が遅れていることは、「信頼醸成に寄与しない」としている。

 IAEAは、02年と04年にコムの核施設で何らかの建設作業が行われ、06年にそれが再開されたことを示す衛星写真を入手していることを明らかにした。

 イランは、施設がナタンツ(Natanz)の核施設が攻撃を受けたなどの場合の予備施設として計画されたもので、建設は07年の下半期に始まったとしている。だがIAEAは、もしこれが事実だとしても、「09年9月までIAEAへの申告は行われなかったことは、IAEA加盟国としての義務と矛盾している」と指摘している。

 前月行われたIAEAによる査察では、施設には「約3000基の(ウラン濃縮用)遠心分離器から成る16のカスケードが設置されていた」としている。ナタンツの核施設には現在、約8000基の遠心分離器がある。(c)AFP/Simon Morgan