【11月11日 AFP】中東和平交渉の再開に向けた米国の取り組みが行き詰まりを見せていることが10日、あらためて明らかになった。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は9日午後、ホワイトハウス(White House)内で1時間40分あまりにわたって会談を行った。

 パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)地区へのユダヤ人入植活動継続に対し米国が反対する姿勢を示したことをめぐって緊張が高まっている中での会談となったが、ネタニヤフ首相は、慣例となっている米大統領との公式行事出席や記者会見も行わず、帰国の途についた。

 ホワイトハウスは会談後、「大統領は、米国がイスラエルの安全保障に強く関わっていくことを確認し、さまざまな問題について安全保障面での協力について協議を行った」とし、イラン問題や中東和平交渉などについて話し合ったことを明らかにした。

 ネタニヤフ首相は会談後、記者団に対し、オバマ大統領との間で緊張が高まっているとの報道について明確に否定し、「前向きな」会談だったことを強調した。

 同首相は会談に先立ち、パレスチナ側と直ちに和平交渉を行う用意があるとしていたが、見通しは暗いようだ。

 米国に対してはパレスチナ側からの圧力も高まっている。先日、来年1月の議長選に立候補しないことを表明したパレスチナ自治区のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長の側近は10日、米国による中東和平再開の取り組みが停滞し続ける場合は、同議長が辞任する可能性もあると発言した。同議長の辞任は、パレスチナ自治政府の崩壊につながりかねないと見られている。(c)AFP/Ron Bousso